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それは暑い夏だった。正確にはまだ6月だった、にしても暑かった、暑い中駅から15分も歩いて学校に行く、遠すぎた。そんな僕も大学3年生になった、大学生というのは自由なものだ、何をしたっていい。だがこの平成のゆとりど真ん中世代はなんでもしていいんだよ〜と檻から出されても何をしていいかわからなかった。ボクもTHE指示待ち人間の1人だった。大学生になってひと時も楽しい時間などなかった、
教室に着き、始業まで待つ。
「おはよう」
暗めに登場した佐々木という女の子
「あ、おはよう!、今日も暑いね、梅雨入ったのにね」
「そうだね」
と愛想なしの佐々木さん、さーっと教室の後ろへ行った。
ものすごく清楚でその上あまり活発ではない子だった、
僕はそんな佐々木さんが好きだった。
おいおい、それは楽しいキャンパスライフだろと突っ込みたくなるかもしれないが、それは君たちが佐々木さんを何も知らないからそんな事言えるのだ。
佐々木さんは常に男がいる、彼氏なのかなんなのかわからないが、人はヤリマンと彼女を評する。彼女は茨城出身で、大学進学の際にこっちに越して来た、どんな家庭環境で育ったのかあまり知らないが、前にLINEした時に彼女はJKリフレを高校の時やっていたと教えてくれた。その当時そこのお客さんとほぼ平日毎日ディズニーランドに行っていたらしい、その話を聞いてなんて、ディズニーランドって楽しい場所なんだろうと僕は思った。毎日行っても飽きないんだから。
男に飽きるのが早いのか、振られてるのかあまりよくわからないが、佐々木さんはあまり男性に依存するタイプではないように見えた。カラッとしている女の人だった、前の男は浮気されて、すぐ別れていた。
始業のベルがなって、授業が始まった。
授業中って関係ないこと考えてしまう。
佐々木さんのインスタグラムに
大事な日になりそう今日は
と一行にクマのぬいぐるみの写真が、それに僕は、とてつもないモヤモヤする。
どうとでも読める、もうすでに新しい彼氏がいるのかな、前LINEした時はそんな事言ってなかったぞ、
ボクは無知で傲慢で独占欲ばっかあって、全部わからないふりしてる。でもたまにそれに気づいて嫌になる。
でも、ほんとはどうでもよかったりする
そんなバランス。
考えても世の中何も解決しないのを知っている、考えることは何もしてないのと一緒だ、だから気にしないのもまた世の中上手に生き抜く技なのかもしれないと思った。
でも、やっぱりなにもかも考えすぎだし、どうでもよかったりする
授業が終盤に差し掛かっていた。
ノートを開いて板書をした。