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お会計をしに2人でレジまで向かう
「ありがとうございました~」
「あ、出すよ」と僕が言ったのに
佐々木さんは僕に千円札を渡してお店から出て行ってしまった
「あ、ごめん」と言いつつ、もたつく
「1300円でございます。」
ちょっと佐々木さん多いよと思いながら300円だして追いかける
「佐々木さん、これお金、おつり。」
佐々木さんは受け取らなかった
「え、なに、」
って唖然にしてると佐々木さんはが突然止まって
「わたしのお父さんって、わたしが高校2年生の時に死んだんだけど、癌で、その時のお葬式で、一人娘だったし、一応わたしも挨拶したんだ、お父さんが~お父さんが~って話してたら、後から、よくわかんない人にああいう場では父って言うのよ、あとあんな事ああいう場では言っちゃダメなのよ、そんな事常識でしょって言われて、なんかすんごい引っかかって、常識ってなにってムカついちゃって、」
堰を切ったように話し始めた
「お父さんの事とかどうでもよく、、、はなってないけど、なんかその常識ってなんだろうって、え、なに、知ってて当たり前みたいな、学校でもそんなの教えてもらわなかったし、」
「そんな事でブチキレちゃったの?」
と言ってしまったら
「そんなことかって、なんか流せなくて、なんかムカついちゃったのよ。お父さんが死んで、お母さん、お母さん専業主婦だったんだけど働きに出て、なんか色々辛くなってきて」
僕は黙ってしまった。
「そっから、常識って言葉に引っかかるってか突っかかるようになって、女ならコレして当然とか、いい大学行かなきゃ後悔するとか、早く結婚しなくてはいけないみたいな、なんか常識みたいなのを盾にってか、主語にして、そんな話ばっか、そういう話が嫌になった、気づいたらみんな同じ話しかしないんだよ、地獄だよ」
そんなこと思ってたんだ、何にも知らなすぎた、でもこんなに生きづらい人を目の前にしたら、余計魅力的になった、ほっとけないよだ、
「そんなさ、つまんないことばっじゃないよ、だってさ」
言いかけたところで向こうに男がこっちを見ている、知り合いのようだ、よく見えない
「ここで帰るね、それじゃ」
「あ、うん」
僕の声が届くか届かないかぐらいで彼女は暗やみに消えていった
「またか、あいつともやったのかな、やってるよな、そうだよな」
俯いてると、LINEのポーンと音がする、島田からだ、
「学校の近くで飲み会してるから、来い、ハハハ」
と至近距離の満面の笑みでの島田の自撮り写真共にメッセージが来た。
時間は21時、なんとなく帰るのは早かった
「行くか」
居酒屋に着く、店内はごちゃごちゃしている、座敷で隣のテーブルと近い。
「いや〜楽しい?」
肩を組んで笑ってくる、島田
「楽しいよ、もう8杯目だろがタコ助」
「まさか来ると思わなかったよ、お前はほんと面白いな」
そう言って隣の鈴木というサークルの後輩の女子と笑ってる。
「そういえば安田さんって彼女いるんですか?」
と鈴木が聞いてくる。
関係ない島田が
「いるわけねえだろ〜こいつは明らかに、こじらせ男子だろ、女の子に話しかけられないんだから」
こいつはぐちぐちと、
「お前もだろ、第一なんなんだよ、このサークル、星座鑑賞サークルってよ、嘘だろ、星好きじゃねえだろ、好きなら鑑賞しろよ!」
僕は少し冗談、少し本気で言った
「飲み会来といてなんだよ〜その口の聞き方わあ〜」
島田はヘラヘラしてる
「ムカつくんだよ、お誕生日研究会とかバス停記録サークルとか、お味噌汁研究サークルとか、角砂糖大好きサークルとかマンホール研究会とか、タモリ倶楽部の企画かよ、そんなんどうせ飲みサーじゃん。もういっそのこと大量飲酒研究サークルとかビールぐびぐびサークルとか作ってそれで飲めよ、あ!イッキイッキサークルも作れ!」
「安田さんって面白い」
そう鈴木さんは言って、また、島田と鈴木で大笑いしてる
「お前は辞めちゃったもんな、サークル」
「え!何入ってたんですか?」
「う、、ん、映画サークル、、」
いらないことをいう、こうしてこいつがおれのお笑いサービスを女子に言っては引かせるんだ
「喧嘩したもんな〜あん時のお前は辛かったよ」
確かに僕は辛かった、僕が大学2年生の時だ
ーーーーーーー
「 今年の野外上映会はこの世界の片隅をやりましょうよ」
と僕が提案したことから始まった
「そんな知らない映画嫌だよ、バックトゥーザフューチャーに決まってるんだよ、今年は 」
と部長が言う
「それに、戦争映画でしょ、それ、なんか暗そうで嫌だ」
と、ブスのよく喋る奴が加勢してきた
「こういう時は、みんなが知ってる映画にしなきゃ」
なんでもないもやし野郎までもそんなこと言う
つい僕は
「は?なんでですか?そんなの理由になるんですか?みんなが知ってることがいいの?第一あなたたちは、映画に対して無頓着で知らなすぎです」
「いいじゃん、あ〜はいはい、お前はなんでも知っててすごいな」
と部長に言われてキレて僕はサークルを辞めてしまう
とはいえず、、、、
ーーーーーーーーーー
「なーんにも知らない奴らだった、それも名前だけのほとんど飲み会メインのサークルだったんだよ、それが嫌で辞めちゃった、映画が好きな奴なんかいなくて、なんであんなのが入ってるんだろうな」
というと島田が
「お前ぐらいのレベルの知識ある奴いる方が珍しいだろ〜なんで仲良くできないかな〜桐島部活やめるってよの神木くんじゃないんだからさ」
「え、それはどんな映画なんですか?」
鈴木さんは知らなかったようだ
「おっ、見たことない?神木くんがB級映画好きで、それをクラス1可愛い橋本愛がなんと同じくB級映画が好きだったと、それで好きになる映画だよ」
「へぇ〜」
「そんな映画じゃねえよ」
と僕は島田をはたく
「え、違うんですか?」と言って笑いながら「安田さん!LINE!交換してください、今度映画連れてってくださいよ」
照れ笑いしながら
「え、いいの?」
「安田さん面白いし」
と、僕は鈴木さんとLINEを交換するのだった
居酒屋の帰り道に僕は島田とニヤニヤしていた「いや〜鈴木さんって人可愛かったな、いい子で」と僕がいうと島田は
「だろ〜うちのサークルで1番いい子なんじゃないかなって思うよ」
「うん、うん、わかるよってか学校1だろ、なんの映画に誘おうかな」
「え、なにあれ本気にしてんのか?」
「あったりまえだろ、行くよ」
「あの子彼氏いるよ、当たり前だけど」
僕は一瞬固まった、当たり前なのか、
「あ、へぇあ、そうだよね、、」
「うん」
沈黙する2人
「え、じゃあなぜ誘った、ってかどうして連れてって的なこというのよ」
若干弱ギレが入ってる、この怒りをどこにぶつけたらいいのか
「知らねえよ、相手も適当に言ってんだろ?それをわかれよ、断られてお前が恥かくだけだぞ」
「す、すげえな島田、なるほどな、そんな気したわ、」
世の中のことを全て知ってるかの如く、世界の仕組みを知ってるかの如く島田は淡々と話す
「なんか飲み会のさ、気持ちよくなる感じというか、酔った勢いだよね、飲み会で起こったことはお店出たら無だよ、飲み会やってもやらなくてもその後は同じ世界線をたどるよ、飲み会からは何も生まれない、全くもって無駄だね、俺たちのオナニータイムだよ」
「ボロカスだな、この後に残る虚しさは射精の後ってことか、だからずっと俺たち童貞!イエイ!」
「、、、、、、」
沈黙する2人
「俺童貞じゃないのよごめん、佐々木さんとヤっちゃった、、、あ、付き合ってはないよ」
とびっきりの笑顔で僕に言ってきた、
それは、北朝鮮のミサイルが日本列島を越えて太平洋の海に落ちて、日本が大騒ぎになった日だった、今日は僕にミサイルが落ちればよかった、そこから戦争が始まればよかった。日本が消滅すればよかった、