海よりもまだ深く 感想
海よりもまだ深くをDVDで見ました。
さすが阿部寛
おっとこまえです
予告編だけでも阿部寛が面白そうだなとわかります。
阿部寛演じる良多は15年前に島尾敏雄賞を受賞した経歴を持つ作家なのだが、それ以後パッとせず、現在は小説のネタになればと生計を立てるため興信所で勤めている。
「パパはなにになりたかった?なりたかったものになれた?」
予告にも出てきますが良多の息子に台風の中タコの遊具の中で言われます。
「パパは、、、まだなれてない」
このやり取りがこの映画の最もいいたい事なんじゃないかなと思いました。
まだって、いつかなるという希望みたいなものが見えます。
もう一つ
良多が興信所の仕事をしていてある秘密をもって高校生をゆするシーンで
「あんたみたいな大人にだけはなりたくないです!!!」
と高校生に言われ
「簡単になりたい大人になれると思ったら大間違いだぞ!」
と逆ギレしてしまいます。
みんながなりたい大人になれるわけじゃない
という大テーマが見えてきます
なりたい大人だけでなく、
こんなはずじゃなかったっていう思いや、変わると思ったという期待感
こういった未来の希望や期待がうまくいかず、
良多は家庭が崩壊し、ギャンブルにはまって首が回らなくなり借金をするという、最低男なのです。
樹木希林演じる良多の母の淑子は言います
「幸せってのはね、なにかを諦めなきゃいけないのよ」
諦める
良多にとっては、家庭をまたやり直せるかもしれない、小説家としてもう一度脚光を浴びれるかもしれないという期待や希望がいつも良多の頭にはあります。それは未練とでも言うのでしょう。
家庭のやり直しや小説家としてもう一度売れるようにという未来は現実叶うかもしれない、
でも、叶わないかもしれない、
叶わないなら、いっそ諦めて真面目になればいいのだ、真面目にやれば幸せになる
途中に小林聡美演じる良多の姉が
お父さんが真面目に働いてればお母さんが団地で住んでないもんね
といいます、こんなはずじゃなかった未来です。
映画の中で競輪をやるシーンが出て来る
これも未来への希望だ
当てて今あるお金を倍にするという希望
でも大抵うまくいかない、それどころか、良多は借金までして、ハマってしまっている。
こんなことしないで、真面目にしていたら、払えていないガス代や水道代電気代は払えていただろう、
未来への希望を持つだけムダで、幸せになれないのだ
タコの遊具のなかで良多は息子に
「大きくなったらなにになりたいんだ?」
と聞きます、すると
「公務員」
と堅い仕事を告げるのです、それは前のシーンで興信所の仕事仲間に将来の夢はなんだったんですか?と聞かれた良多の答えと一緒でした。
良多は
え、いいのか?プロ野球選手とかじゃなくて
そうすると
なれないよ、そんなん
と希望などない答えでした
その後
「パパはなにになりたかった?なりたかったものになれた?」
パパは、、、まだなれてない、
でもな、なれたかどうか問題じゃない、大切なのはそういう気持ちを持って生きてるかどうかってことなんだ
希望を持って生きる、生きていく
きっと良多は高校生まで父親の影響で希望なんか持てない子供だったんじゃないだろうか、
でも小説で賞を獲って希望を持つ素晴らしさを知ったんじゃないかなって思ったんです。
こんなはずじゃなかった、そう思ってもまだ人は希望を持ち続ける、希望を持ってしまう。
塁に出れたらなんでもいい、フォアボールでもいいって考えてちゃダメなんだ、たとえ打てなくてもホームランを打つんだという気持ちを持つことがきっと大事なんだ。
海よりも深く愛したことはないよ、あんたはあるかい?